プリント&プロモーション―デジタルプリントの専門サイト――

【海外レポート】「CHINA PRINT 2025」② <デジタル印刷機編> drupa超える勢い! 革新と中国市場の活気そしてLANDAの異変

【2025年7月7日】中国最大規模の印刷・パッケージ業界展示会「第11回北京国際印刷技術展覧会(CHINA PRINT 2025)」が5月15日から19日まで、北京・中国国際展示センター(順義館)および首都国際コンベンションセンターで開催された。

同展示会は4年一度開催される印刷関連の展示会で、開催規模は中国では最大級で、世界の印刷資機材見本市の中でも世界最大と言われる「drupa」を超える勢いがある。

レポート②ではデジタル印刷機を中心に報告する。

 

デジタル印刷機

LANDA(ランダ)は、「drupa2025」の展示イメージをそのまま再現。同社はナノグラフィーと言われるインクジェットをブランケットに転写し、印刷するという方式で、インクが巻き上がらないため、速度を上げられるというもの。

展示では、ナノグラフィーとオフセット印刷を比較して、損紙がはるかに少ないことやオフセット印刷に近い品質などをアピール。サンプルもdrupaと同じく非常に人気で、会場には「LANDA」のバッグを持った人が多く見られた。

一方、展示は操作パネル部分だけで印刷機本体はデモンストレーションしなかった。この辺りは中国だからなのか、LANDAの資金的なものなのかが気になる。
とここまで書いて、放置していたら7月に入ってこんなニュースが…。

ランダが債務整理中で負債総額は約5億1600万ドル(17.5億新シェケル)とのこと。さらに昨年から人員整理も行っていて、かつて2000にいたと言われる従業員を約500人にまで減らしているそうだ。
かつて電子写真方式のデジタル印刷機ブランド「Indigo」をHPに売却したランダ氏だが、今回もHPが救済に動くという話もあり、先行きが注目される。

そのニュースはこちら
https://www.calcalistech.com/ctechnews/article/byfqza0exx

大崔(盛大印刷)では、ブース内のコーナーをお祭りの屋台のように区分けして各種印刷を紹介した。ポスターやカタログなどの冊子に加え、アクリルキーホルダーやスタンドなどのグッズも多く展示されており、サンプルを欲しがる来場者で賑わった。

このブースが同展示会で一番人が多かった場所。ある方が「北京は広告代理店やデザイン会社が多い」と話す通り、印刷会社の技術が求められていることと、サンプルが大好きという中国人の性質をよくつかんでいる展示だった。

ECO3の「General  Manager InkJet Printer」は、デジタル印刷機とフレキソ印刷機をインラインで結合したラベル印刷機。印刷速度は47m/分で、印刷幅は450㎜までOK。ラベル印刷機と言っているが、少量の軟包装印刷までを意識した造りだろう。

「LABEL SMART330」は、デジタル印刷機のみで構成されたラベル印刷機で、同じく47m/分で、こちらはラベル印刷をおおむねカバーする330mm幅だった。
パッケージ印刷を意識した展開で、商談も盛り上がっており、ブース内の席を常に人でにぎわっており、売約の乾杯が繰り返されていた。

HPは同社の液体トナータイプのデジタル印刷機を多数展示していた。
「Indigo200K」はデモンストレーションせずだが、「売約済み感謝」のシールが貼られていた。「Indigo6K」は実演し、州秦機械(ZHOUTAIマシナリー)の製袋機で、袋をつくるところまでを見せた。
「Indigo120K」はB2機でこちらもサランラップのようなものが巻いてあった。
担当者に聞くと「納める前に商品を展示しいるから」とのこと。お嫁入り前の製品を持ってきていたようだ。

たまたま、ブースに通りかかった時に、場内ツアーを各国語の解説員でスタートするタイミングだった。オーストラリア、タイ、インドネシア、台湾の各国来場者がグループツアーを行っていたが、日本語のツアーはなかった。この辺りは非常に残念に感じる。

リコーは「PRO Z75」が盛大印刷に入っていることをアピールした。デジタルプリントでは一般的なB2サイズ(585x750mm)で、4500枚/時という性能。
「Pro VC8000」はロールタイプで584mm幅とこれもB2を意識。速度は150m/分。
いずれも「drupa2024」でも展示したもので、ここでは中国初お披露目的な意味合いがある。他のメーカーもそのような意味あいの展示が多く中国のIGAS的な展示会ともいえるようだ。

同社ブースにはヘッドの展示もあった。「メタルヘッドモデルE GA5100シリーズ」「GL440K-MC」「同440CC」などを紹介していた。ヘッドメーカとしての側面もあり、印刷機メーカーが集まるここでのPRは当然だろう。

隣のホリゾンは初出展でありにもかかわらず、非常に広いスペースを確保して製品をデモした。
エリアを「無人化区」「新焦点区」「自動化・効率化&工作流程区」に分けて展示。
「無人化区」では、無線綴じを披露し、人に変わってAGV(搬送ロボット)がプリンタと加工機の間を往復し、用紙はロボットアームで供給していた。このAVGは中国の企業に同社の規格で制作させたもので、同社のブランドで販売している。

ザイコンの「TX500」は乾式トナーの電子写真方式。印刷幅508mm、印刷速度30 m/分、印刷解像度1200 dpi。これも「drupa」デビューで、中国での初披露だった。
ブースではマイクロ文字のサンプルを展示。高精細なプリントができるという特性をアピールした。

圣徳科技のデジタルプリンタ「M440C PRO」は印刷幅460mm、最大印刷速度120m/分、1600dpi で価格は300万元。特徴はエンジンにMemjetを搭載していること。
販売はまだこれからとのことだが「手ごたえはある」と担当者。

京隽(Kingjun)の「SF8500」はデジタル印刷の枚葉機。用紙サイズは1020x1020mm、最大印刷速度15000枚/h(160m)、出力解像度1200dpi、価格は320元。2年前に発売されたもので、中国で4台。

ダーストは「TAU340RSCi」は、デジタルラベル印刷機。最大印刷速度80m/分、ネイティブ解像度1,200×1,200dpi、最大8色のインクを搭載できる。

至一科技の「P9」はロールタイプで、幅890mm、225m/分。

フローラは「PEACOCK440」を中心展示。最大印刷幅が436mm、最大印刷速度は50m/分。3年前に発売して150台を発売、90%が中国での販売だった。

京セラは「TASKalfaPro55000C」を展示。新型のプロダクションプリンタで、少量・多品種でカットシートをプリントできる。用紙へのグリップ性能が高く、速乾性に優れた新インクを採用し、プリントヘッドの目詰まりを防止するラインフラッシングやウェットキャップなどの新技術を導入することで、オフセットコート紙へ出力できる。

富士フイルムは「JetPress750S」を中心展示し、最大印刷速度が3600枚/時、ヘッドは同社のSambaを使用、最大印刷用紙サイズ750mm × 585mmとこれもB2機の使用。
「RevoriaPressPC1120」は出力解像度2,400×2,400 dpi、連続プリント速度120ページ/分、A3サイズで60ページ/分。
このほか「SC285」も展示し、グラフテックのカッティングプロッターとの組み合わせで紹介していた。

小森コーポレーションの「J-throne 29」は、B2枚葉UVインクジェット印刷機で、6,000sphの印刷速度、最大用紙サイズは585×750㎜。

オフセット印刷は「リスロンGX29」や「G40」なども展示していた。

コニカミノルタの「AccurioJet30000」もB2サイズ(585×750mm)。今年4月発売で、出力解像度は1,200×1,200dpi、印刷速度は片面印刷時:3,000枚/時、両面印刷時:1,500枚/時。中国でのお披露目となった。
「C140105S」は、最大印刷サイズは321×480mm(長尺紙:321×1,295mm)、最大給紙容量14,140枚。このほか「C7100」も展示していた。

ハイデルベルグは、「JetFire50」を出品。水性インクジェット方式で、出力解像度が1,200×1,200 dpi、最大印刷速度は各4,500枚(80 g/m2)で、シートフィーダー1~3台で最大6,000枚を搭載可能。
メイン展示はオフセット印刷機で「Speedmaster CX104-8+LYY-1+L」で、こちらに多くの来場者が集まった。
このほか、プロダクションプリンタ「VersfireLV」も展示された。

    

Copyright © 2025 プリント&プロモーション . ALL Rights Reserved.