【2016年10月17日】Tooは10月12日(水)、東京・虎ノ門ヒルズで、特別セミナー「.design surf seminar 2016 - デザインの向こう側にあるもの – 」を開催した。
このセミナーではデザインビジネスの最前線で活躍する9人の講師を迎えて行われた。
記者もこのセミナーに潜入し、デザインについて学んできた。
セミナーは場内のA,B,C会場で同時に行われているため、すべてを見ることができなかったが、どれも興味深いテーマでデザインについて講師が語った。
記者が注目したのは、サントリー食品インターナショナルのシニアスペシャリスト クリエイティブディレクター 加藤芳夫さんが講演した「ブランドとはなんだろう?」。
加藤さんは日本パッケージデザイン協会の理事長でもあるパッケージの第一人者。「なっちゃん」や「伊右衛門」など多くの飲料ブランドの立ち上げとそのデザインにかかわってきており、著書も多い。
会場は椅子が足りず、スタッフが追加席を用意するほどの盛況。
記者が座った隣の席では、熱心にメモを取るデザイナー風の方もおり、パッケージデザインに対する熱い思いが伝わってきた。記者もその10倍くらいメモを取っていたので、超熱いデザイナーと思われたかもしれない。
セミナーだが「ブランドとは何だろう?」という根本的なお話からパッケージデザインを紐解いていく。
加藤さんはこんな商品のデザインに関わってきた。
加藤さんのスライドは手描き、この味のある文字と絵を見れるだけでも、参加者には眼福ではないだろうか。
加藤さんは、パッケージデザインの国際的な賞「PENT AWARD」でも賞を受賞しているが、その審査でデザインを評価するポイントをまず披露してくれた。
以上の5つが、そのポイントだ。
そもそもブランドとは、家畜を共同で放牧しておくときに、持ち主を見分けるための焼き印が語源だという。
持ち主を見分ける方法から、その商品そのものの品質を保証するようになり、その言葉が「ブランド」となった。
ブランドとは顧客の経験から、その商品を良いと認識し「また買いたい」と思うような心の作用をもたらすこと。
なるほど「あ~この商品また買いたいなあ~」と思って、名前を確かめたりするのはすでにそれが「ブランド化」しているのということなのか。
だから、加藤さんは「よいパッケージは記憶に残る」という。
ここで参加者を巻き込んで、ミニワークショップが始まった。
1時間のセミナーの中でワークショップもしてしまうという大胆さ、さすがパッケージデザインの第一人者だ。
ワークショップのテーマは「記憶の中のカタチを取り出す!」。
加藤さんがお題を出して、それを何も見ないで絵にするというもの。
まずは「ドラえもん」。
とても傑作が多い(笑)。
本当にうまい方も結構いる。
次は「ミッキーマウス」。版権とかうるさいけど、学術研究目的だからOKと判断。
こちらも傑作多くて、会場は大爆笑。
やっぱりデザイナーさん多いからか、すごくうまい方も。
この後、「千歳飴」「飲料」といったお題が出された。
このワークショップで加藤さんが言いたかったのは、ドラえもんなら「丸い形」が、ミッキーマウスであれば、「耳」や「尖った鼻」といった共通したイメージが誰の頭にも残っているということ。飲料でも容器の形やロゴマーク、カラーリングなど、頭に残っている部分がある。
飲料でパッケージデザイン変更をする場合には、その共有のイメージを崩してしまわないことが大事なのだという。
そして、心に残るブランドに必要なのは「優先順位を作って、シンプルに、コンセプトを持って伝えなければならない」という。
また、飲料は“発売2年目”を乗り越えるのが難しく、中身に加えて「パッケージもコミュニケーションのある存在でなければ厳しい」ともいう。
最後に加藤さんはパッケージデザインに関してのアドバイスとして「生きている体験こそ役に立つ、自分の人生を生かす。自分も生活者、第三の目を磨け!」と呼びかけた。
生活者視点というのがデザイナーにとって、ブランド作りにとってとても重要ということのようだ。
終了後にお声がけさせていただき、写真をパチリ。
参加者と気さくにデザインやブランドについてお話しされていた。
.design surf seminar 2016専用Webサイト
http://www.too.com/dsurf/
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