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東京大学と大日本印刷 「スキンディスプレイ」に駆動・通信回路、電源を一体化 実用へ前進

【2020年7月13日】東京大学の染谷隆夫博士(大学院工学系研究科長・教授)の研究チームと大日本印刷(DNP)は、伸縮可能な新型の「スキンディスプレイ」と駆動・通信回路、電源の一体化に成功した。

この「スキンディスプレイ」は、独自の「伸縮性ハイブリッド電子実装技術」を進化させた、薄型で伸縮自在なフルカラーの表示装置。皮膚上に貼り付けたディスプレイに外部から送られた画像メッセージを表示できる。
装置は、12×12個(画素数:144)の1.5mm角サイズのフルカラーLEDが薄いゴムシートに2.5mmの等間隔で埋め込まれている。全体の厚みは約2mm、130%までの伸縮を繰り返しても電気的・機械的特性が損なわれない。表示部の駆動電圧は3.7Vで、表示スピードは60Hz、最大消費電力は平均100mW。

今回の研究により、「伸縮性ハイブリッド電子実装技術」は、曲面形状に追従し使用できる部品の選択肢が広がり、実用化に目途がついたという。この実証として、皮膚に貼って用いるスキンディスプレイの表現力を高めるフルカラー化にも成功している。
さらに駆動・通信回路や電源も一体化し、貼り付けも可能になった。

従来、電極配線が伸縮変形に追従する場合、伸長時に電気抵抗の上昇や、繰り返しの伸縮で断線しやすいという課題があった。
また、伸縮性の高い基材上に、既存の剛直な部品を用いて電子回路を形成すると、部品の接合部が破壊されやすかった。

同チーム独自の「伸縮性ハイブリッド電子実装技術」は、柔軟な基材を曲げ伸ばししても抵抗値が変わらない電極配線を可能としている。
また、剛直な部品を実装しても伸縮時に断線しにくい工夫を盛り込んだ。

両者は同技術を「コロナ禍を経た今後のニューノーマルな社会での、非言語コミュニケーション要素の欠落を補う手段」として期待しているという。なお、DNPは、間もなくスキンエレクトロニクスの実用化検証を開始する。

 

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