【2018年4月11日】4月10日は「フォントの日」。わからない方はいないと思うが「4(フォー)と10(トー)」で「フォント」のゴロ合わせ、昨年、アドビ システムズ(アドビ)が日本記念日協会に登録し認定された。
この4月10日の記念日を祝ったAdobe主催のお祭りイベント「#フォントの日 記念トークセッション」が、東京都千代田区紀尾井町の「Yahoo! LODGE」で開催された。
関連:Adobe「#フォントの日 記念トークセッション」② フォントクイズに挑戦!?
イベント会場「紀尾井町ガーデンテラス」は、ヤフーの本社があるビル。「Yahoo! LODGE」はその本社に設置されているコワーキングスペースだ。18階が入り口で、17階に降りる階段がある2フロア方式。数十人規模のイベント4つは同時開催できそうな、広大なフロアスペースは圧巻だ。
詳しくはここ→https://lodge.yahoo.co.jp/
会場入り口には、日本酒やワイン、ビールなどが並び軽食も用意されているというお祭り感。さらに桜餅には「#フォントの日」のロゴマークが貼られているという凝りようだ。
午後7時30分、アドビ日本語タイポグラフィーシニアマネージャーの山本太郎氏が乾杯し、イベントは始まった。
正直、かつては「明朝とゴシック」「全角と半角」の区別もつかなかったフォント音痴の記者が、このお祭りをフォントをリンクで紹介しながらレポートする。
「#フォント川柳 Twitterキャンペーン」入賞作が発表では、”フォント心”が込められた入賞作品3作品が読み上げられた。
各賞の受賞句はこんな感じ。
やすみりえ賞
「ニュアンスを 文字がまとって こころ打つ」
大日本タイポ組合賞
「エキストラ もらった台本 サンセリフ」
西塚涼子賞
「印字した 言葉の余韻 墨溜まり」
入賞者には、作品が書かれた掛け軸とアドビクリエイティブカード1年分、貂明朝のトートバッグが贈られた。
トークセッション「meet the Typeface designer」では、フォントメーカー各社からフォントを実際に作成しているタイプフェイスデザイナー6人が集まりトークを繰り広げた。
登壇したのは以下の6人。
・モリサワ 原野佳純氏
・タイプバンク 半田藍氏
・大日本印刷 宮田愛子氏
・フォントワークス 越智亜紀子氏
・字游工房 宇野由希子氏
・視覚デザイン研究所 松島裕也氏
・アドビ 西塚涼子氏
このセッションでは、事前に登壇者へアンケートを行い、その回答をもとに進行。司会はアドビの岩本崇氏が担当した。
Q.「タイプデザイナーになったきっかけは?」
「レタリングがきっかけ」と答えた人が複数。
西塚さんは、最初は国語ノートに表紙にふさわしい文字で「国語」と書きたいところから始まり、大学のレタリングの授業でさらに目覚めたという。
また、、原野さんは美術の授業でレタリングを経験。その後、美大受験の予備校やってみたら「面白かった」ことからこの道を志した。
しかし、一人だけ異質な回答をしたのは宮田さん。「会社から配属された」という身もふたもないお話。司会の岩本さんが「その後、面白さに触れたんですよね~」とフォローする一幕も…。
Q.「思い出に残る書体」
「UDデジタル教科書体」と答えた半田さん。自分が作った文字でもうすぐWindowsに搭載されるそう。「弱視の方に話を聞き調査したが、普段は人と触れ合うことが少ない職種だけに、使われる場所を見れたことがうれしかった」という。
「パルラムネ」と答えたのは越智さん「入社5年目で初デザイン」のゆるかわ系書体。
「游明朝StdN B」は宇野さん。EとBだけ見出し向けに、新しくデザイン文字つくるところから初めて携わったというこのフォント。「去年そっとリリースしたから、あまり知られてない(笑)」と自虐的につぶやく越智さんだが、静かですっきりしたデザインは評判のよう。
Q.「どんなシチュエーションで使ってほしいか」
「MacOSにバンドルしてほしい」と答えたのは松島さん「多くの方々に使っていただきたい」という思いだそうで、もちろん「窓のOSでもかまわない」と、そんなにMacにこだわってなさそうな様子。
「どんな場面でも」と答えたのは去年発表された「貂明朝」の制作者の西塚さん。やはり、多くの人に使ってほしいようで「かづらきの時に何に使われるかと思ったら、最初に発見したのがアニメ系雑誌の『このやろう』という一言で、それにグッと来た。ユーザーの使い方は斜め上で、作ったフォントはわが子を見守るように見ている」と心情を吐露。
「貂明朝に用途はないと思っていたが(笑)、思わぬところで人気になっている」と自由過ぎる発言を連発した。
Q.「手掛けたフォントが使われて誇らしかったシーン」
宮田さんが、自信のフォントが超有名ブックデザイナーの平野甲賀さんの作品に使われたことを挙げ「自分が自宅にインストールしてきた」と驚きの仕事も公表した。
半田さんは「ときめきトゥナイトに使われた。30年前の自分に伝えに行きたい」と仕事の喜びを超え、いちファンに戻った楽しみを語ってくれた。
Q.「製作でのこだわり」
松島さんが「複数フォントの制作を掛け持ちする」としており、他のフォントを見ることで、偏りが出ないいいフォントになるという秘訣を紹介した。
西塚さんは「フォント愛に溢れすぎているので、ユーザーがどういうのを喜ぶか、常に考えメモしている」とほぼフォントづけの生活であることを告白。「世の中やデザインを見ながら、次はこれかなと意識している」と時流をヒントにした製作法であることを話した。
Q.「ちょっと悔しい他社のフォント」(やられた!という意味で)
「貂明朝」
「すずむし」
「ぶどう」
が挙げられ、西塚さんが「忖度してくれました!」と場を盛り上げた。
Q.「今後目指していることやってみたいこと」
宇野さん「『もじうご』の活動で、可愛いフォントやもっとぴったりなフォントができると分かった。歴史の中で技術が変わり、その技術に当てはめていったのが書体デザイナーの仕事」と自らの活動を分析する。
さらに、西塚さんが「『もじうご』には影響されているんですよ」話し、どの方向から見れるフォントなのかや、デバイスによる表現方法の変化があるなどを、フォントの課題に挙げた。
というわけで、このセッションは、ぶっちゃけフォントトークで大きな盛り上がりを見せて終了した。
Copyright © 2025 プリント&プロモーション . ALL Rights Reserved.