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紙エレ研「第12回技術研究発表&交流会」3氏が発表 「紙での発電」「見えないコード」「折り紙を照明に」


【2017年9月25日】紙のエレクトロニクス応用研究会(紙エレ研)の「第12回技術研究発表&交流会」が9月21日、東京都千代田区外神田の「3331Arts Chiyoda」で開催された。

紙エレ研は、銀ナノインクによる電子回路のプリントを中心に、紙を加工した技術やサービスについて研究・発表を行っている。
研究会には研究者や技術者のほか、技術を将来活用する可能性のある印刷会社や広告代理店、資機材メーカーなどが参加している。

今回は研究者、企業、デザイン分野の3氏が発表した。

 

江前敏晴氏 紙と印刷での発電

江前敏晴氏(同研究会代表、筑波大学生命環境系教授、日本印刷学会会長)
「紙と印刷を使ったエレクトロニクスとセンサーの開発」

今回はエレクトロニクスに電気を供給する紙基板の「音振動発電機」と、農工業用水に含まれる銅の検出および回収を行う「紙基板センサー及び回収材」を紹介する。

今、研究で紙の振動を活用した「自立振動発電型デバイス」を考えている。
目的は音や振動を利用し「静電誘導型発電機」を開発すること。これを将来的にはIoT機器の電源にしたい。
今できているのは紙を叩くと発電する「タッピングタイプ」や、紙のこすれあいを利用する「スライドタイプ」。

素材もテフロンやサイトップなど、さまざまに変え実験しており、サイトップは薄いにもかかわらずテフロンと同等の発電量があることなどが分かった。

もう一つの「銅イオンセンサー」の研究では、飲料水に含まれる銅イオンを検出する紙を開発。これを活用し河川などに流れている銅を回収し、自然環境の整備と資源の再利用を図る。
「銅イオンセンサー」はインクジェットで一定量の染料をプリントすることで作成できるので安価。

 

江前敏晴のホームページ
http://www.enomae.com/

 

岸上郁子氏 印刷でできる極小コードの活用

岸上郁子氏(株式会社アポロジャパン代表取締役社長)
「目に見えない次世代コード『スクリーンコード』」

当社は中国で創業し、東レの帳票組版ソフトを作ったのが最初の仕事。
2009年、リーマンショック後に自社の商品開発が必要と考え、「スクリーンコード」を使った音声ペンを開発した。

「スクリーンコード」はQRコードなどに続く、第3世代のコードで、直径42.3㎛というほぼ不可視のドットをプリントしておき、赤外線LEDの照射により反射するカーボン成分を読み取る技術。

人間にはほぼ見えない上、最小2㎜角へのプリントでも情報を付与できる。これにより、デザインの邪魔をせず、電子透かしのように埋め込める。印刷技術であるため、RFIDのようなコスト面での心配もなく、さまざまな偽造防止関連セキュリティーに活用され始めている。

有名なところでは東芝テックの複合機で、コピーを行うと「これは複製です」などとプリントされるセキュリティー技術などがある。
このほか英会話の「ECC」では、教材用に採用されており、音声ペンでコードを読み込むと英語の発音を聞ける。
現在は専用リーダーだけでなく、スマートフォンでも読み込むことができるようになった。

アポロジャパンでは今後、「セルフレジ」「入退場」「保険などの重要書類」といったIoT分野での採用を目指しており、この技術を事業の柱としていきたい。

 

アポロジャパン
http://www.apollo-japan.ne.jp/

 

平瀬尋士氏 折り紙を照明に!

平瀬尋士氏(スタジオジン代表·デザイナー)
「折紙ランプシェード『折灯華setto-ka』の商品開発」

私は紙エレ研の第6回技術研究発表会、発表者である三谷純氏(筑波大学教授)と出会い、同氏の開発した「or i-revo(回転体ベースの立体折紙設計ツール)」をベースに「折紙ランプシェード」をデザイン。京都の表具組合や「京唐紙」の職人とコラボレーションした商品を製作した。

もともと、私は三菱自動車でクルマのデザインをしており、独立後はスタジオジンを設立。陶芸、アクセサリー、漆などを使ったデザインを発表している。

発表したものでは和紙に光ファイバーを織り込んだ「HIKARI WASHI」を制作した。
光ファイバーの性質を利用し、途中に切れ目を入れることで、全体を発光させた。
こういった「最先端とアナログを組み合わせる」ことを行っている。

三谷先生「Ori-revo」は無料ソフトで、紙の形状を3DCG上で整えると、折り紙の展開図を作成してくれるというもの。
これを活用して「折り紙照明」を作成した。

加工はカッティングプロッタを使用しているが、機械で折り目を入れると割れる素材もあるので、そのような場合は手作業と併用している。

「折り紙」ならば、海外で喜ばれる上、輸出時には折りたたんで小さくできるとも考えた。

紙はふすまなどに利用される「京唐紙」を使うことで、消灯時は唐紙の柄を、点灯時はそれが印影となって空間を演出する。
価格は350mmの球体または変形タイプで、15,000円~30,000円で販売している。

今後、インバウンド用お土産や和モダン系のホテル・レストランなどでの採用を目指したい。

 

スタジオ ジン
http://www.studiojin.jp/


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