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【レポート1】紙のエレクトロニクス応用研究会 第8回技術研究発表&交流会 橋本悠希氏「人と情報をつなぐ漆インタフェースの実現に向けて」


【2016年9月27日】紙のエレクトロニクス応用研究会が「第8回技術研究発表&交流会」を開くというので9月26日、東京都千代田区外神田の「3331Arts」へ行ってきた。
今回はそのレポートをお届けする。

紙のエレクトロニクス応用研究会は、銀ナノインクによる電子回路のプリントを中心に、紙を加工した技術やサービスについて研究している。銀ナノインクでの電子回路プリントは、応用範囲が広く、さまざまな部品や製品への応用が期待されている。
研究会には、同技術の専門家以外にも、技術を将来活用する可能性のある印刷会社や広告代理店、資機材メーカーなど、幅広い業界から入会があり、毎回多くの人が参加している。

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紙のエレクトロニクス研究会

今回は以前から発表&交流会を行ってきた会場が手狭になったため、銀座線末広町の駅からすぐの「3331Arts」に場所を移した。この「3331Arts」、廃校になった千代田区立練成中学校を改修して作られた施設でアートギャラリーやオフィス、カフェなどが入居しており、セミナースペースもある。

今回の「第8回技術研究発表&交流会」では3名の講師が登壇し、発表を行った。
まずレポート1では橋本悠希さん(筑波大学 システム情報系知能機能工学域 助教)が「人と情報をつなぐ漆インタフェースの実現に向けて」をお届けする。

橋本悠希氏「人と情報をつなぐ漆インタフェースの実現に向けて」

紙のエレクトロニクス研究会

漆とインタフェース、一見関係なさそうに見えるが、漆はなんと絶縁体、それも酸やアルカリにも強く、さまざまな塗料の中でも最強クラスの堅牢さがあるという。
橋本さんは友人に漆職人がいたことから、この伝統工芸で使われる技術を電子回路などに応用できないかと考えたことから、この研究を始めた。
この漆を使った回路でやりたいことは「伝統文化と現代文化の融合」そして「漆に新たな機能を付け加えること」なのだそうだ。

回路づくりで橋本さんは、さまざまな方法を実験したが、漆が塩化ビニルに固着しづらいことから、「塩化ビニルを使った剥離法」を採用した。
簡単に言うと、手塗りで塩ビに塗り、本当に塗布したい物品に貼り付け、固まったところで塩ビを剥がすという方法。
この方法であれば素人の手塗りでも漆を均一に塗布できるのだそうだ。職人のような技術を覚えるには何年物修行が必要だが、これであればだれでも一定以上の品質が保てる。

紙のエレクトロニクス研究会

さらに回路を埋め込まなければならないが、唯一漆が弱点とする紫外線レーザーを使い、細かな溝を掘ることを考案した。UVレーザーによる加工機も制作し、これによって積層回路の加工が可能になったという。

紙のエレクトロニクス研究会

橋本さんがこの回路を使ってまず作ったのは、「タッチセンサ」人が触れると通電しLEDランプが光ることや、センサによる感知を始めることなどだ。

例えば、自動車のインパネを漆塗りにした上、親和性のあるタッチセンサを取り付けることや、漆塗りの箸に成分感知センサを付け、食べ物の塩分や栄養分などを計測するといった使い方もできる。

紙のエレクトロニクス研究会

橋本さんは「IoT化で、異物感のあるセンサを使わずに済む一つの方法」と応用製品化に自信を見せる。
量産化に関しては「面積の小さなものはインクジェットプリンタ、大きなものはスプレーコーターでの塗布が可能」と話す。

製品が市場に出てくるのは、まだまだ先の話になりそうだが、楽しみな研究だ。

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