【2021年12月1日】電通テックは2020年2月、環境負荷低減を意識したダンボール製プロダクトブランド「danbal(ダンバル)」の提供を開始した。
「danbal」は、特殊な強化ダンボール素材(danbal board)を使ったプロダクトやイベントなどの什器を提案するブランド。電通テックの販促ノウハウと、豊栄産業の段ボール加工技術により開発されたもので、高い耐久性と携帯性に加え、SDGsを意識した企業のソリューションにも刺さるものだった。
今回はこの企画を担当している㈱電通テック 第1プロダクトサービスセンター プロダクトマネジメント3部の丸塚浩司部長に話を聞いた。
――広告代理店系の制作会社として知られる電通テックがダンボールに関する事業を始めたと聞いた時は驚きました
当社は、広告の制作会社として、生活者とクライアントをつなぐ、または印刷物やプレミアムをつなぐプロモーション領域での解決案を多く出してきました。
今回の「danbal」もクライアントのニーズに対応し、プロモーション領域での解決を狙ったものに変わりはないと考えています。
――「danbal」の事業開始について、その経緯を教えてください
当社には「mikke design lab. ミッケデザインラボ」というプロジェクトがありまして、ここでさまざまな特長のある会社さんと企画やビジネスでコラボレーションしています。
このコラボでは、パートナー企業に商品企画やビジネスデザイン、既存商品のリ・デザインを提供し、新たな価値の付加やアプローチを通じてブランドの成長を支援しています。
最初に手掛けた企業の一つが、糊で知られるヤマト。まず、ロール状の付箋「メモックロールテープ」の使い方がユーザーにいま一つ理解されていないことに着目。使用用途をよりストレートに伝えるために「テープノフセン」と命名し、付属のカッターをテープのビタミンカラーに合わせて一体化することを提案。メーカーと共に別ブランドとして開発しました。結果、新商品と共に「メモックロールテープ」も認知が向上し、売上拡大につながりました。
このプロジェクトの延長線上に「danbal」があります。
豊栄産業の持っているダンボールという資産に、新たな価値を見出し、「いいもの」を世の中に広めていきたいという「mikke」的な考えの一つです。
――「danbal」はどのようなことを目指してブランド展開を始めましたか
このダンボール自体が「ありえない強度」というところから、木材やプラスチックの代わりになると思い、さまざまな展開を検討し始めました。
――そんなにすごい強度なんですね
強度は一般的なダンボールの3倍、製品としての設計により全面耐荷重テストの最高値は1㌧を超え、8倍以上の強度があります。これは第三者機関である日本文化用品安全研究所でチェックした結果です。
また、再生できるため、SDGsや環境負荷低減に刺さると考えこれを生かしたブランド展開を考えていました。
「danbal」というブランド名は、当社のコピーライターが「ダンボール」と「がんばる」を合わせて「danbal」としたものです。
――現在はダンボール家具がメインのイメージですが、当初は違ったそうですね
当初は販促の店頭什器や展示会のディスプレイとして需要があると考え、棚什器などを設計していきました。
軽くて、強くて、収納性もあり、運べる。また、繰り返し使うこともでき、リサイクル性もある。このようなディスプレイ用什器は、販促用の期間限定設置用以外にはなかったので、新たな需要があると考えました。
用途は、短期出展を繰り返す催事売り場や展示会、内覧会などです。
実際、ビジネスガイド社の「プレミアムインセンティブショー」では、休憩スペースに活用いただきました。5万人以上が来場するイベントで問題なく使用していただいたのは大きな実績と感じます。
一方で、コロナ禍の影響もあり、その後方針を変えていきました。
――どのような方針転換があったのでしょう
ご存知の通り、新型コロナウイルス感染拡大とこれによる緊急事態宣言で商業施設は休業し、展示会などのイベントも多くが中止になりました。多くのリアルイベントが無観客となり、当然ながらその場所では什器やディスプレイの需要が無くなりました。我々も出鼻を挫かれた形で、非常に困ったのは正直なところです。
しかし、一方ではリモートワークや災害避難時など臨時で家具が必要となるケースが出てきました。
これらに「danbal」のプロダクトが活用できると考えをスイッチしました。
――当初目指したものとはちがったカタチで注目されました。その点は
非常に丈夫なダンボールを何に使おうかというところから開発を始めたので、想定外のコロナ禍で、逆にこのブランドのあり方が浮き彫りになったようです。
また、ダンボールを使用した箱以外のものが認知されてきたとも感じます。
当社製品に限らず、災害時の避難所のパーテーションや五輪の選手村でのダンボールベッドの活用などが報道され、注目が集まりました。
さらに、SDGsの観点から繰り返し利用でき、リサイクルできるダンボール家具がその精神に沿ったものとして、意識されつつあります。
――ラインナップには、2つのシリーズがあるようですが、違いは
1シリーズが格納型で、分解収納ができるタイプ。2シリーズは基本的に組み立てたらそのまま使用する常設タイプです。
どれも簡単に組み立てできる設計で、ストレスなく使用できます。この辺りは経験した人でないと分からないと思うのですが、組み立てに時間がかかるものは非常にストレスが溜まりますし、緊急時に使用する時にそこに人手を割かなければなりません。
細かなラインナップではデスクやテーブル、ベッド、ベンチ、棚、ダストボックスなどがあります。
――製品に課題はありますか
やはりダンボールなので、見た目がオフィスやリビングなど設置場所にマッチしないケースがあるという声を聞いています。そう言ったお客様向けに、新たに白いダンボールのパーテーションを量販店のロフトと開発しました。
これに色をプリントしたり、マスキングテープなどを貼って演出することで、使用される方のライフスタイルに合わせたお好みの空間を作りこむことが可能になります。
製品はロフト福岡天神と梅田、名古屋で展示販売していますが、その後他のラインナップも取り入れていければと思っています。
――採用例は
思った以上に商談が進んでおり、東京の区内施設などでも災害時・帰宅困難者用のベンチベッドやチェアとして採用されています。
リモートワーク用のデスクとチェアやブースも手応えを感じています。素材のdanbal board単体としても、建築模型需要に応える形で画材店での販売が始まりました。
また、コロナの感染拡大が収まっている今、当初考えていた店頭用の、展示販売の什器としても引き合いが来ています。
――今後の展開は
強度があるといっても理解されづらい部分があるので、やはり多くの方に触れていただき良さを知ってもらいたいですね。
いいものでも、知られなければ世の中で役に立ちません。特にコンシューマには届かない。
丈夫さや軽さや使い勝手の良さ、環境対応など、皆さんのためにできることがあれば、どんどん改良を加え、さらに商品を開発していきたいと思います。
「danbal」の詳細については以下から
https://www.dentsutec.co.jp/showroom/danbal/
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