【2024年8月28日】矢野経済研究所はこのほど、業務・産業向けプリンタの世界市場を調査し、各出力機器の出荷台数・出荷金額、利用動向、参入企業シェア・動向、将来展望を明らかにした。
同調査では、ラベル印刷やデジタル印刷、オンデマンド(POD)印刷が可能なプロダクションプリンタ、A2判以上の大きさの印刷ができるLFP(大判プリンタ、インクジェット方式)の業務・産業向けプリンタ2カテゴリを対象とした。
概要は以下の通り。
2023年度の業務・産業向けプリンタ世界出荷台数は前年度比103.3%の41万3,784台、出荷金額は同103.5%の8,841億2,300万円(いずれもメーカー出荷ベース)となった。
業務・産業向けプリンタは、コロナ禍からの需要回復により2021~2022年度は2桁の成長を遂げたが、2023年度の世界市場は微増と一段落した形となった。中国や欧州市場などでの景気停滞に加え、ロシアのウクライナ侵攻など地政学的なリスク上昇も相まって市場は落ち着きをみせた。
各カテゴリ別に市場をみると、プロダクションプリンタ・LFP(インクジェット方式)はともに2023年度の市場は拡大が落ち着いた形となったものの、成長基調にある。
プロダクションプリンタは、上位モデルと下位モデルの成長が著しい。安価なことからお試し感覚で導入出来る下位モデルは裾野の拡大が見込まれる。一方、上位モデルは、中間モデルを使用するユーザ企業が生産性向上のため上位モデルにシフトするケースが増加しており、市場を牽引している。
LFP(インクジェット方式)では、環境負荷の少ない水性系やラテックスプリンタ、またDTF(Direct to Film)プリンタの伸長が著しい。LFPは業務・産業向け用途の幅が広く、様々な使途・環境で使用されており、潜在的な需要も大きい市場であると考える。
ラテックスプリンタは、ラテックス(分散性ポリマー)をヒーターの熱で溶解、硬化させることで耐久性塗膜を形成するプリンタである。印刷物は無臭で環境性能が高いため、欧米などを中心に需要が高く、対候性にも優れていることから屋外使用のサインや建材など様々な用途に対応が可能である。日本国内でも、これまでは顔料を有機溶剤に分散したソルベントプリンタが多く使われて来たものの、近年、環境性優位の機運が高まっており、一層の市場拡大があると考える。
2023年度のラテックスプリンタの世界出荷台数※は前年度比109.4%の1万7,500台、出荷金額は同109.5%の207億円であった。2024年度以降も、幅広い用途や、環境性能の高さ、エントリーモデルから高生産モデルまで揃えた豊富なラインアップなどから、ラテックスプリンタのニーズは高まり、市場は順調に成長していくと予測する。
2024年度の業務・産業向けプリンタ世界出荷台数は、前年度比103.8%の42万9,480台、出荷金額は同104.8%の9,268億6,500万円になると予測する。
経済環境はほぼ2023年度と同様であり、2023年度と同程度の成長を見込む。カテゴリー別では、特に成長が期待されるプロダクションプリンタの上位モデルや、LFP(インクジェット方式)のUVプリンタはいずれも高単価のため、出荷台数に比べて出荷金額の伸びが大きくなる見通しである。
期間:4月~7月
対象:プリンタメーカ・販売店/パートナー
方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話やeメールによる取材併用
発刊日:7月31日
矢野経済研究所
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