プリント&プロモーション > サイン・屋外広告 > 【新製品レポート】ローランドディー.ジー.の低溶剤系プロ向け大判プリンタ「TrueVIS XP-640」　高生産性＆高精細「王道機能」で好発進

【新製品レポート】ローランドディー.ジー.の低溶剤系プロ向け大判プリンタ「TrueVIS XP-640」　高生産性＆高精細「王道機能」で好発進

【2024年7月17日】ローランドディー.ジー.は、広告・看板製作用の低溶剤インク対応のプリンタ「TrueVIS XP-640」を発売した。

同製品は同クラスの旗艦モデルで、「上級プロ向け」製品という。「PRO」と名のついた製品は2012年発売の「SOLJET PRO4 XR-640」があり、同社では約10年ぶりのハイエンドモデルの更新となった。
今回は、この製品について同社へ取材し、製品の特長や傾向、ユーザーへの思いなどを探った。

ハイエンド＆ローコスト

「TrueVIS XP-640」は、新開発のプリントヘッドにより、出力速度は8色塩ビの標準モード15.2㎡/時、4色塩ビの標準モード22.5㎡/時と、1,625mm幅としては最速クラスで、生産性の高さはまさにプロ向けといった印象を受ける。

搭載インクはCMYKにライトブラックとオレンジ、グリーン、そして新色のレッドインクの8色。色数を絞りながらも、サイン（看板）やディスプレイなど屋外広告に必要なビビッドな色を描き出せるという。
担当者は「あえてライトシアンやライトマゼンタを抜きました。これによって色域は広げつつコストを下げることに成功しています」と話す。
インク単価も従来品よりは低く抑えており、インク使用量もプロファイルを改善し、より少なくなっている。

新低溶剤インク「THインク」を採用。同インクはGREENGUARD Goldを取得しており、化学物質排出制限に準拠し、屋内の広告やディスプレイでの使用にも適している。さらにインクカートリッジの材料には、紙を使用するなど、環境配慮への高い意識が感じられる。

ローランドディー．ジー．が、ハイエンドで低コスト、さらには環境配慮と、現代の大判プリンティングに必要とされる要件をそろえてきた。

考えられた機能

「ユーザーの気持ちをよく分かっているな」と感じた部分がある。
この「TrueVIS XP-640」は、大判プリント専用機なのだ。同社の代名詞ともいえる「プリント＆カット方式」を採用せず、プリント機能のみに絞った点は、ユーザーの事情をよく心得ていると感じた。

同社のハイエンド機を求めるユーザーは、すでにカッティングプロッタを設備しているケースが多く、「プリントのみの機種」が求められる傾向がある。プリントよりもカッティングの方が時間がかかるため、プリンタ1台に対し、カッティングプロッタを複数台導入している企業もある。

もちろん、カッティング機能を搭載しなかったことで、プリンタの価格を抑えられるという面もある。担当者も「コストを抑えたことで、大量に出力されるユーザーが、2台、3台と増設されることも視野に入れています」と話す。

カッティング機能は搭載していないが、便利な機能としてミシン目カットがある。従来機種にあったようなロールからシートに切り落とすだけでなく、ミシン目をつけて巻き取ることでロールとして取り扱うことが可能になった。
シートにしてしまうと置き場所に困るなど、取り回しが良くないといった声から生まれたこの機能も、よくできていると感じる。
前出の8色というインクの数も含め、しっかりと必要な部分を選んできていると感じるのだ。

王道機能で好調！

機能を絞っているからと言って、描画の性能や使い勝手を落としているわけではない。
同社独自の印刷設定「True Rich Color(トゥルーリッチカラー)」を進化させ、標準の「True Rich Color Standard」を基準に、シーンによって選べる7種のカラーバリエーションを用意。さらに「近似色ファインダー」では、オペレーターの必要とする色に近づけてから、さらに細かな修正を施せるなど、プリプレスの面でも使いやすさが増している。

「Roland DG Connect(ローランドディージーコネクト)」は、クラウドベース。プリンタの稼働モニタリングだけでなく、メディアなどの価格を入力すれば、利益計算なども可能。
「今後、さらに経営にかかわる細かな計算もできるような開発も検討している」と担当者。

メンテナンスも非常にしやすく、プリントヘッド周りのクリーニングや交換作業を、ユーザー自身が行える。従来はサービスマンによる作業が必須だったが、その間のダウンタイムがなくなり、ユーザーの時間的負担を大幅に軽減する内容だ。

「TrueVIS XP-640」は、発売前から参考出品として「九州印刷機材展」「サインEXPO大阪」などで披露された。
この展示が非常に好評で、すでに導入が決まった会社が数社あるという。
担当者は「王道のハイクラスプリンタで、速度と高画質が特長。ぜひ多くの方にこのマシンの動く姿を見ていただきたい」と呼び掛ける。