矢野経済研究所が行った「国内のデジタルサイネージ市場の調査」で、2016年度の国内市場規模が前年度比116.2%の1,487億7,500万円であることが分かった。
分析では、イニシャルコスト(初期投資費用)やランニングコスト(運用・管理維持費用)の低価格化などにより、導入が増加。2017年度は前年度比 120.3%の 1,789 億 2,000 万円に達すると予測している。
デジタルサイネージ市場は、「安価にデジタルサイネージを導入したい層」がある一方、スマートフォンなどとの連携やデータ活用など「高付加価値なデジタルサイネージを導入したい層」もあり、導入理由や価格は二極化している。
デジタルサイネージは、コミュニケーションツールとして捉えられるようになり、大型だけでなく、小型のデジタルサイネージにも付加価値の高いものを求める傾向があるという。
また、東京オリンピック・パラリンピックなどを契機に 2020 年度の市場規模は3,361億7,000 万円となると予測している。
一方で、2020 東京大会後は広告の掲出が縮小するとみられ、2021 年度の同市場規模は前年度比 4.8%減の 3,199 億 500 万円と予測。ただし、観光用途など、地方でのデジタルサイネージ設置はその後も増加傾向と分析している。
さらに、2016 年度のデジタルサイネージの広告(広告枠)の市場規模は、前年度比 121.9%の 600 億 8,100万円と推計している。
近年は、稼働率 100%のデジタルサイネージも増加基調にあり、場所によってはキャン
セル待ちが発生するなどデジタルサイネージへの広告掲出が活発化している。
今後は広告枠を時間指定で購入できるような新たな出稿システムの検討もされており、同じロケーションやスペースにより多くの企業が広告を掲出可能になり、市場は順調に拡大すると予測する。
2016 年度のデジタルサイネージのコンテンツ制作の市場規模は、前年度比110.0%の 260 億 6,000万円と推計。システム構築事業者などがコンテンツ制作ツールを安価に提供し、ユーザー企業自身がコンテンツを制作する機会が増える一方、ブランド力を高めるため、高品質のコンテンツを望むユーザー企業も拡大傾向にあり、市場の成長を後押ししている
今後、4K・8K(高精細な映像技術)に対応したコンテンツの制作により、価格の低下に歯止めがかかることが期待され、2017 年度は前年度比 115.0%の 299 億 7,000 万円になると予測する。
調査概要
1.調査期間:2017年2月~5月
2.調査対象:デジタルサイネージシステム関連事業者、広告会社、ハウスエージェンシー、媒体社等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2017年5月26日
矢野経済研究所
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