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絶対知っておきたい デジタル印刷機による未来の新聞づくり 〈後編〉


【特集】従来の新聞印刷と、未来につながる新たな小ロットの新聞印刷を体験できる「未来の新聞研究会」見学ツアーに同行し、本社貴社は築地の朝日新聞本社にお邪魔した。

前回は従来の新聞づくりで巨大な印刷機や関連設備を紹介した。

デジタル印刷機でつくる未来の新聞とは!?
さて、ここからはいよいよ未来の新聞づくりを見ていきたい。察しのよい方ならお分かりと思うが、未来の新聞はデジタル印刷機で作られる。
これが朝日新聞が導入したオセの「ColorStream 3700Z」だ。

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一応、デジタル印刷機をご存じない方に説明しておくと、最大の特徴は版を使わないこと。
従来の印刷機ははんこと同じで、前回お見せした「刷版」や、古くは「鉛版」(えんばん)のようなものを作って、そこにインキを塗って紙にそのインキを押し付けて刷るのだ。
デジタル印刷機はそこをすっ飛ばして、データからいきなり印刷してしまう。ちょっと乱暴だが、簡単に言うと家庭用のプリンタやオフィスにあるコピー機の大きいやつと思っていただければいい。

版を作るコストがかからないため、少ない部数であれば、従来の印刷機より安価に印刷ができる。
「ものにもよりますが、約3000部までなら、デジタル印刷機の方が安価にできます」と朝日新聞の澤田有司制作本部主査。

機構的には、オセのデジタル印刷機を2台連結し、新聞の表裏を一つの流れで刷ることができる。また、断裁機はスイスのフンケラー製、折り機はドイツのハイデルベルグ製を使用し、新聞の形になるまで自動で仕上げる。オセがオランダの会社なので、ヨーロッパの主要国を連結して刷り上げているような構成というところがおもしろい。

さっそく、このシステムを動かしていただいた。

1台のオセで刷った後、原紙を反転し、連結されたもう1台のオセで裏面を刷る。毎分100mのスピードというから、従来の新聞輪転機に比べればはるかに遅いが、ブランケット版見開き4ページで毎分123部作れる。朝刊のように40ページある場合は毎分12部とフルで従来の新聞を制作するにはかなり非力ではあるが、小ロット印刷なら十分に力を発揮できるだろう。
版が必要ないため、写真や文字などを切り替えての印刷が可能という利点もある。

即時性、少量、可変で新聞は変わる
さて刷り上がったものを見てびっくり、先ほど受付で撮った集合写真が1面に載せられた新聞が目の前にある。版を作らない分、印刷までのスピードが速いというのもデジタル印刷機の特徴だ。このほか、原紙が流れていく方向に150cmまでの長尺印刷にも対応する。

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デジタル印刷機で刷る未来の新聞だが、特長を生かせばこれまでにない新聞制作を実現できると感じる。
デジタル印刷は版がなく、少ない部数の場合、コストが抑えられることはもちろん、データを差し替えるだけで1部ずつ全く異なる内容の新聞を作るといった離れ業も不可能ではない。つまり、未来の新聞では、その人がスポーツ欄を多く読みたいと思えば、スポーツ欄を多めに、経済を良く知りたいと思えば経済の情報をたっぷり、地域の情報が欲しいというなら近隣のニュースを全部盛り込むといったこともできるはずだ。
もしかしたら、その日が来たら「奥様の誕生日おめでとうございます。プレゼントはこちらでいかがでしょう」などという広告が掲載されていてもおかしくないだろう(もちろん個人情報の問題がクリアできていればだが)。

未来の新聞の夜明けはすぐそこまで来ている、かもしれない。(了)

絶対知っておきたい デジタル印刷機による未来の新聞づくり 〈前編〉


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