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開催中 「第46回日本プロモーショナル・マーケティング協会展(JPM協会展)」 上位入賞作品をレポート ポイントは「動き」と「映像」

【2016年9月28日】「第46回日本プロモーショナル・マーケティング協会展」(JPM協会展)が昨日9月27日、浅草の都立産業貿易センター台東館で開幕し、明日9月29日(木)まで開催されている。主催は日本プロモーショナル・マーケティング協会。
「日本プロモーショナル・マーケティング協会展」は、JPMが毎年行っている作品コンペティションの優秀作品の展示やセミナー、会員企業のミニ展示会などを行うイベント。

今回は、実際に売り場などで使われた多くのディスプレイやPOPが展示される「JPMクリエイティブ・ソリューション・アォード」のレポートを中心にお届けする。

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さて、会場となった都立産業貿易センターに入るといきなり「今年。刺激。強いです」のキャッチ、同じものが受け付けにもあり、例年にも増して力の入った印象だ。
入賞作品は460点以上と、今年も多くの作品が展示されていおり、今年も多くの来場者が熱心にメモを取っていた(場内は撮影禁止)。期間中の来場者は5000人を見込んでいる。

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「経済産業大臣賞」 パナソニックの「スティックタイプ掃除機実践POP」

経済産業大臣賞や金賞受賞作品から注目の作品を見てみよう。
「経済産業大臣賞」はパナソニックの「スティックタイプ掃除機実践POP」。

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商品であるスティックタイプ掃除機の便利さを、床やじゅうたん、階段、壁際、すき間などを再現し、実際に使用でき、その便利さを体感できる。
製品の軽快な動きを予測させるピクトグラムやサインによる表示など、凝った造りでありながら、非常にわかりやすい作品だ。

「BU500ムービング付き豪華エンド」

同じくパナソニックのハンディー掃除機の広告で「キット」部門の金賞を獲得した「BU500ムービング付き豪華エンド」は、ロボットの手が商品を動かすという動きのある作品で、来店者が思わず二度見してしまうような迫力があった。
このロボットとともに、小型のモニターで動画を流しており、そこでもCMで商品説明をしている。

豪華の名の通り、ものすごく贅沢な広告だ。
ただ、こういった装置を置いておけば、店員いらずになる。ロボット化の波は店頭の接客にまで来ているといってもいいだろう。

HOYA「iPadカラコンシミュレーター専用什器」

「薬品・医薬作家」部門の金賞、HOYAの「iPadカラコンシミュレーター専用什器」は、iPadを什器の上に設置。これはただ動画を流すといった展開でなく、専用アプリでカラーコンタクトレンズを付けた時にイメージを画面上でシミュレートできるという優れモノ。

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iPadの特性を生かして、ユーザーの顔を撮影。その瞳にカラーコンタクトを合成して、装着イメージが見られる。
洋服を試着するように、ファッションアイテムのカラーコンタクトを仮想現実で試着できるは、ユーザーにとってはうれしいサービスだろう。

ソニーマーケティング「h.ear サイネージ展示台」

「オーディオ・AV機器」部門の金賞、ソニーマーケティングの「h.ear サイネージ展示台」は、製品の展示台の背後を上下2台の大型映像装置で装飾している。
「h.ear」はソニーのハイレゾ(高品位)ヘッドフォンだが、この高級感と装着した時のファッショナブルさを、バックのモニターに映る静止画で、静かに鮮やかに表現している。

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モニターは当然、ソニー製の「BRAVIA」で、ソニーてんこ盛りという内容でもある。
1個2万円前後という高級ヘッドフォンを販売するには、このくらいの仕掛けは当然か。

「Heineken インタラクティブ 空中浮遊缶」

映像装置を使った金賞作品では「アルコール飲料・たばこ」部門の「Heineken インタラクティブ 空中浮遊缶」。
ハイネケンの缶を模した什器の上部をのぞき込むと、ハイネケンのビンが立体的に浮遊したように見える。さらにビンに手を伸ばすと、ビンの栓が抜け、ビールが噴き出す音がするビックリな仕掛けも。

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「なんだろう」とのぞき込ませ、驚かせる仕掛けは、ユーザーの動きを意識しており、遊び心を感じるものだ。

松竹「映画『あやしい彼女』劇場スタンディ」

同様に変化する画像を使った作品では「出版・エンタテインメント・その他の業種」の金賞、松竹の「映画『あやしい彼女』劇場スタンディ」がある。
73歳の女性が20歳に若返るという映画の内容を、チェンジングパネルを使い1枚で表現している。

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正直言ってチェンジングパネルは、使いようによってはうっとうしく感じてしまうことがあるが、この作品では来館者の導線を意識し、一瞬で映画のテーマを理解させる点が面白い。接触場所とそのタイミング、理解の深さなどが考えられた作品と感じる。

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ジェイアール東日本企画「壁貼り電子ペーパーリレーションPOP」

新たな装置を使った作品では「のれん・バナー・フラッグ・タペストリー・ウォール」部門のジェイアール東日本企画「壁貼り電子ペーパーリレーションPOP」。電子ペーパーにより色の変化で、波の動きを表現しているという。この動きを動画で見てほしい。

軽く、柔らかい素材で曲面にも貼れ、展開場所を選ばないことから、今後活躍の場が増えそうだ。
工夫をすればさらにクオリティーの高いものができそうだが、今回は新人賞的な扱いだろうか。

ライオン「キレイキレイ 手洗い啓発スライドPOP」

小さな作品でも動きのあるものがあった。
「ショウカード・スティッカー」部門のライオン「キレイキレイ 手洗い啓発スライドPOP」は、一見何の変哲もない手のイラスト。しかし、スライドを引き出すことで、どのくらい手に細菌がいるかわかる仕掛けとなっている。
小さくドラッグストアなど狭い店舗でも店頭に置きやすいところも配慮がされていると感じる。ただ、忙しい主婦に「引きだしてもらう」というひと手間が必要な点がクリアされているかはちょっと疑問に感じた。

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展示全体を見て

受賞作全体の印象としては、「動きがある」「映像装置と組み合わせた」作品が多かった。
ネット通販が拡大する中で、リアルの売り場でどう見せるか、いかに足を止めさせるか、その売り場で買いたくさせるか、といった課題に取り組んでいる苦心の様子がよくわかる。

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季節のイベントとしては「ハロウィーン」関連の作品が増えており、この傾向は来年以降も続くと予想。一方、商品では「缶コーヒー」のプロモーションがほぼ壊滅状態となっている。コンビニコーヒーの出現で、缶コーヒーはその役割を終えた感がある。
こういった市場の消長がわかるのも「JPM協会展」の面白さと言える。

このほか、「GPAアォード」、学生などから募集した作品や売り場提案に関しての作品コンペである「買い場展開ツールデザインコンペティション」などの優秀作品を展示。各種セミナー、「販促見本市」も開催されている。

読者にはぜひ足を運んで、入賞作品をその目で確かめてほしい。

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