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JAGATセミナー「広告市場動向と新たな広告プランニング手法」実況中継(前編) 「変わる広告市場の構造」電通総研 北原利行研究主幹


【2016年3月25日】日本印刷技術協会(JAGAT)は3月23日、JAGATセミナールームでセミナー「広告市場動向と新たな広告プランニング手法」を開催。会員や関係者、マスコミなど約30人が参加し、最新の広告事情に耳を傾けた。

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まず、電通総研 研究主幹の北原利行氏が「変わる広告市場の構造」のテーマで、電通「2015日本の広告費」についての解説を中心に次のように話した。

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伸び悩むマスコミ4媒体
日本の総広告費は6兆1710億円、前年比100.3%で6兆円を維持した。この数字はほぼGDPと一緒に変動している。
2015年は個人消費が伸び悩んでいることから広告費も伸び悩んでいるという印象だ。

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「マスコミ4媒体」(2兆8,699億円、前年比97.6%)の広告費は、全体の50%を切っている。
「テレビ広告」(1兆9,323億円、前年比98.8%)もマイナスだった。テレビ広告は「スポット広告」と「タイム広告」に分けられるが、スポット広告は経済、タイム広告はW杯や五輪、選挙などのイベントが影響する。昨年後半はイベントが少なく伸び悩んだ。

テレビ広告の中では「衛星メディア広告」(1,235億円、同101.5%)がリーマンショックの時も減少せず増えている。中高年の富裕層がBSを見る習慣がついてきていることが要因だ。

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印刷に関連する「新聞広告」(5,679億円、同93.8%)は、2000年の半分になった。業種では流通・小売り、旅行などの業種の広告が落ちている。要因は読者が減っていること。
「雑誌広告」(2,443億円、同97.7%)も一部の女性誌などを除いて減っている。特に若年層向けは苦戦。一方、電子雑誌定額読み放題は好調だ。
「ラジオ広告」(1,254億円、同98.6%)は聴視者が固定しており、安定している。Radikoのサービス、ワイドFMなどプラスの要因があるが、昨年は少し減ってしまった。

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一人勝ち?のインターネット広告
「インターネット広告」(1兆1,594億円、同110.2%)は一貫して伸び続けている。
特に「運用型広告」(6,226億円、同121.9%)が非常に高い成長率を見せており、この結果、制作単価は低下した。

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テレビ以上の市場規模 プロモーションメディア広告
「プロモーションメディア広告」(2兆1,417億円、同99.1%)は、実はテレビ広告と同等の市場規模がある。この中には印刷に関連する「屋外広告」「交通広告」「折込広告」「POP広告」などが含まれている。

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「屋外広告」(3,188億円、同100.5%)は、インバウンド市場の盛り上がりや復興需要で好調。「交通広告」は(2,044億円、同99.5%)。デジタルサイネージが増えているが、中づりや窓上、ドア横など、印刷に関わる広告が減少。今後は空港など外国人観光客増加が見込める場所で増加が予測される。
「POP広告」は(1,970億円、100.3%)と増加しており、近年も安定している優等生。デジタルサイネージやモニターを埋め込んだディスプレーなどが増えた。「展示・映像広告」(3,062億円、107.7%)は、大型の展示会に加え、プライベートイベントやファンイベントなども伸びている。

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「折込広告」は(4,687億円、95.3%)と減っている。これは新聞の部数減に伴うもの。
「DM広告」は(3,829億円、97.6%)と減っているが、再評価されている。インターネットなどを通じた通販で、リピート購入してもらうために最終的に効くのはDMという認識が広まっている。eメールは読まれないケースが多く、通販利用者が高齢者に多いことから、デジタル印刷機を使ったDMでの最後のひと押しが効く。このほか、無宛名便も堅調だ。
「フリーマガジン」(2,303億円、99.4%)は、一度大きく注目されたが、現在はスマホなどに取って代わられ減少。ただし、インバウンドの盛り上がりで、多言語対応などすれば、活性化する可能性がある。

 

広告市場の変化~広告主は何を考えているのか
昔は護送船団と言われた広告。しかし今は同一業種でも違う戦略を取っている。
「広告重視」か「販促重視」かの選択、「国内」と「海外」など狙う市場で広告を打つか打たないかも変わってくる。
宣伝部機能も変化し、アウトソーシングする企業も多い。
また、インターネットでPDCAを回す広告は販売促進的な動きでもある。しかし、これはブランディングや企業認知にかかわるものではない。

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量ではなく質、効果をみる傾向になった。
広告を見せるだけでなく、ユーザーを「どう行動させたか?」が評価につながる。この中で販促関連費へのシフトも見られる。

「広告費が減っている媒体」=「接触時間が減っている媒体」だ。
若者はテレビを見ていないが、高齢者はテレビが好き。また、最近の若い人はものを買わない、だから若者向けには広告費をかけても仕方がないという動きもある。

消費者の行動はAIDMA(Attention、Interest、Desire、Memory、Action)からAISAS(Attention、Interest、Search、Action、Share)へと変わっている。

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オムニチャネルでメディア環境が変化し「オンラインからオフラインへ」、「オフラインからオンラインへ」(ショールーミング)など、さまざまな動きが見られる。インターネット以前の「縦のコミュニケーション」から「縦の双方向コミュニケーション」、さらに「縦と横のコミュニケーション」へと変わった。
今は「知っている人の言うことに共感する」という価値観の時代。企業は共感してくれるような商品を作らなければいけない。

広告は企業の困っていることを肩代わりするという立場になった。広告で何かを解決できればいい、それは印刷会社も同じではないだろうか。

JAGATセミナー「広告市場動向と新たな広告プランニング手法」実況中継(後編)につづく

 

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