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JAGAT大会2016 塚田会長「再成長のためにEコマースの構築を考えよう」 発刊の「印刷白書」など藤井主幹研究員が解説


【2016年10月11日】日本印刷技術協会(JAGAT)は10月7日、東京都文京区関口のホテル椿山荘で「JAGAT大会2016」を開催した。
大会テーマは「印刷の再成長 市場の創出」とし、全国から会員や関係者などが参加した。

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冒頭、花崎副会長は次のように挨拶した。
「我々に必要なのは、消費者視点だ。消費者が必要としているのは、ドリルではなく穴。印刷物なら、きれいなカタログではなく、売れるカタログが欲しい。売れるカタログを作るにはマーケティングが必用だ。そして、今回の大会テーマは印刷の再成長だが、成長にはイノベーションが必要だ。イノベーションを起こすにはアイデアを否定しないことが大事。印刷の現場でもイノベーションを期待する。JAGATは非常に幅広い情報を持っているので、今日は有益な情報を一つでも持ち帰ってほしい」

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この後、JAGATの塚田司郎会長がキーノート(基調講演)を行った。

「印刷再成長のための新しい企業経営とは」JAGAT塚田司郎会長

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JAGAT刊行の未来を創る -THIS POINT FORWARD-でも示されていたようにEコマースの構築は印刷業界にとって重要な課題だ。
印刷業界ではウェブ・ツー・プリントが必要と言われてきたが、業界はどこまでやれているのかわからない。これは個々の会社がテーラーメイドでシステムを作っているため、その実情が世の中に出てきづらいからだ。
今回はこのことについて、私の会社の事例を紹介しながら考えたい。

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Eコマースで導入しやすいのが、まずなんといっても名刺注文システムで、次は年賀状、そしてバージョニング印刷ができればDM印刷などの受注が可能だ。
さらにWEB入稿システムを立ち上げれば、定期性の高い印刷物、下阪までの進行業務をウェブ上のシステムとすることができる。
これらプリントマネジメントができていれば、そのあとはスマホから発注するシステムも作れる。

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米国のジェニファー・ワッツの著書「WEB2PRINT」では、メディアラボの創設者ニコラス・ネグロポンテが唱えた「アトムVSビット」を引用し、情報産業はすべてデジタルに置き換えられるとしている。
だから印刷会社はマーケティング・サービス・プロバイダーになるべきだと呼びかけていた。

また「印刷は物理的製品だが、デジタル経済の利点を活用できないわけではない」とも記している。もちろんオンライン取引を利用することも可能だ。
オンライン取引を進める5つの理由は
①世の中の取引はオンラインに移行している
②オンライン取引は顧客とのやり取りのすべてを電子的に捕捉する
③オンライン取引では他の製品やサービスも提供できる
④セルフサービスでの注文は、時間、お金を節約する
⑤技術は、あなたと顧客の関係性を深める

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さて、一般的なセールスのサイクルは以下のような流れだ。
①知る
②好きになる
③信頼する
④支払う
⑤他人にも進める
このように、買ってもらうまでには最低でも4までを経過しなければならない。

顧客がその商品や会社を知るきっかけはグーグルが70%といわれている。
知ってもらうには、業界内の言葉でなく、お客様の言葉で話すことが重要。いい点も、悪い点もより早くオンラインでは広がる。
多くのリーダーはこの話を避けたがるが重要なことだと思う。今後もJAGATで考えていきたい。

講演1「JAGAT最新調査から読み解く印刷会社の動向」 藤井建人

JAGAT主幹研究員の藤井建人氏はJAGAT刊行の印刷白書2016デジタル印刷レポート2016-2017を引用しながら、近年のデジタル印刷について以下のように解説した。

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デジタル印刷の導入は、設備投資は補助金などの関係で伸びたが、打診的(機械の性能や、ニーズがあるかどうか確かめる)な流れだ。

「印刷白書2016」の調査結果から、印刷業界のアウトルック(概観)と製造業24分類中のランクは以下の通り。
事業所:5位 25843
従業員:11位 29.8万人
出荷額:18位 5.5兆円

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印刷会社の数は1969年の水準で、JAGATができた時の数字だが、売り上げは協会ができた時の6倍となっている。つまり、合理化や革新もあったということ。
市場はほぼ下げ止まり、といった推移を示している。

出版・商業印刷の供給過剰は解消しつつある。これは出版分野で印刷機の台数が減っているからだ。印刷価格も下げ止まりつつある。

デジタル印刷レポート2016-2017では業績ハイライトとして以下のことを掲載している。
収益性:売上高は3年ぶり上昇、利益率は2年連続低下
生産性:一人当たりの加工高3年連続改善、人件費2年連続上昇
安全性:設備投資の活発化、資本回転率史上最低水準
以上のことから「収益性は低下もキャッシュフローは改善している」としている。

特別講演の藤原洋(ブロードバンドタワー社長)「インターネットが作り出す21世紀の経済力学」とディスカッションは別掲。


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