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JAGAT大会2016 特別講演 藤原洋氏「インターネットが創り出す 21世紀の経済力学―勝ち抜くための処方箋」


【2016年10月11日】日本印刷技術協会(JAGAT)は10月7日、東京都文京区関口のホテル椿山荘で「JAGAT大会2016」を開催した。
大会テーマは「印刷の再成長 市場の創出」とし、全国から会員や関係者などが参加した。

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特別講演はブロードバンドタワー社長で日本はなぜ負けるのか インターネットが創り出す21世紀の経済力学 (NextPublishing)の著書がある藤原洋氏が「インターネットが創り出す 21世紀の経済力学―勝ち抜くための処方箋」のテーマで、インターネット業界の最前線で働く立場から、世界と日本のインターネットを取り巻く事情などについて解説した。

 

「インターネットが創り出す 21世紀の経済力学」藤原洋氏

20年でGDPが減ったのは日本だけ

失われた20年とは何だったのか?
先進国のGDPを見るとこので日本だけが減少しているという驚きの数字がある。
これは日本でインターネットが活用されていないからだと私は考える。
つまり失われた20年とは、ネットの普及による変化に日本が気づかなかった20年のことだ。

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世界の国を見るとネットで情報が行きわたるのは平和な国。平和な社会こそがインターネット社会ともいえる。
この平和なグローバル社会では、企業が多国籍となり、国家間競争でなく企業間が競争する時代となった。

国家の役割は企業が活発な活動をしやすい社会にすること。
米国政府は1990年代にインターネットの商用認可で規制改革がなされ、第3次産業革命が米国で起こった。

インターネット革命の本質とはなんだろう。
封建時代は価値のあるものが土地であったのが、産業革命がおこり土地からモノへ価値が移った。さらにインターネットによる革命で、モノから情報へ価値が移った。

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この情報社会は「誰もが生産者になれる時代」で、社会のパラダイムが変化したのだ。

 

日本の現状とアベノミクス

新しい社会を作るのは、新たなテクノロジー。
しかし、日本はICT(Information and Communication Technology)利活用率が非常に低い。代表的なところでは、先進国の中で現金決済が異常に多く、電子カルテも共通化されていないという無駄が多い社会だ。

米国の創業20歳未満企業トップ10は、日本企業のトップテンより企業価値が高い。
ビフォア―インタネット(BI)とアフターインターネット(AI)という言葉があるが、日本はビフォアーインターネット社会。いまだにインターネットが活用されていない社会なのだ。
MITテクノロジーレビューの「2014年 イノベーティブ企業トップ50」に日本企業は1社も入っていないという事態になっている。

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さて、アベノミクスとは何か。
アベノミクスの背景には、失われた20年があり、これを取り戻す政策が行われている。

アベノミクスには3本の矢があるが、第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」がまだできていない。やらなくてはならないのは未来を見て先行投資することなのだが、それができていないと感じる。

原因は「一極集中しすぎている」ということ。
①大企業への一極集中
②首都圏への一極集中
全国、全国民が活躍しなければならないはずが、ごく一部の大企業と首都圏にのみお金が落ちており、「1億非総活躍社会」となってしまっていた。

では3本目の矢が成功するシナリオはどうなのか。

まずは「岩盤規制改革」が必要だ。岩盤規制とは役所や業界団体などが改革に強く反対し、緩和や撤廃が容易にできない規制こと。
医療や労働市場の改革が必要だろう。

 

次世代のインターネットで何が変わるか

AIが最近話題だが、人口減少問題があるからこそAIは有効だ。
日本の人口は100年で3倍になったが、今後100年で3分の1になる。
そのため、労働人口が足りなくなるが、その時には一人当たりの労働生産性を上げればいい。これには人間のためにAIをどう働かせるかが重要になる。

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さて、インターネット産業だが、これはインターネットという一つの業界にとどまらず、他の産業に急拡散している。また、インターネットの主戦場は、これまでの通信基盤の整備から、WebサービスやWebコンテンツの提供など上位層に移行している。
ムーアの法則によると、ハードウェアの進化は10年で2倍という計算。安価に性能の高いハードや通信環境が手に入るようになったからだ。

IoTが盛んに話題となっているが、いよいよモノがインターネットを通じて情報発信するようになった。
人間の人口分以上にモノがしゃべり始め、IPアドレスが足りないという問題も出始めている。
また、ビッグデータは、これまでの要約統計(テーマを決めて一部の統計を取る)から、誘導統計(すべての情報を大づかみにして、その中から人が気づいていない傾向を探る)に統計の取り方を変えた。

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人工知能により、農業は超省力、大規模生産を行う「スマート農業」に変化するだろう。
IoTにより医療、金融も変わる。

金融では支払い能力があるが与信審査が通らないという層に「Fintech(フィンテック)」が効果的に働く。すでにローンが滞るとクルマが動かなくなるというシステムも開発されている。
当社が取り組む通信は、第5世代通信網「5G」が整備され、IoTを支えることになる。

印刷に関連することでは、米国ではインディーズ系出版が増えており、大手出版社がシェアを大幅に落としている。

 

「IoT時代に向けて7つの大切なこと」

「IoT時代に向けて7つの大切なこと」は次の通りだ(要約)。
①「IoT改革の推進」と「岩盤規制改革」の同時進行
②工業社会の供給者の既得権益ではなく、需要者側の論理で成り立つ「消費者のための社会」を目指すこと
③「イノベーションを求める主体」とは「消費者」と「生活者」。誰もが欲しいものが手に入り、誰もがそれを作れる時代に
④「イノベーションを起こす主体」とは、起業家、科学者、技術者、投資家
⑤「イノベーションを推進する主体」とは、政治、政府、自治体
⑥加古さん30年間の「情報通信産業の自由化」に続き「産業の自由化(インターネット化)」を推進
⑦具体的に取り組むべきテーマは今始まったばかりの産業革命である「IoT革命」であり、IoT、BigDate、AIの3分野


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